政党「自由と公正」(LTまたはPLT; Partija „Laisvė ir teisingumas“)は、リトアニアの自由主義政党。党員数は4,678人(2020年現在)。
前身は自由中道連合(LiCS; Liberalų ir centro sąjunga、2003〜2014年)およびリトアニア自由連合(リベラル派)(LLS; Lietuvos laisvės sąjunga (liberalai)、2014〜2020年)で、他党と合流するたびに名称を変更しているが、登録上は同一の法人。自由中道連合は結党当初、リベラル派を代表する主要政党とみなされていたが、その後、自由中道連合から分派した自由運動(LRLS→LS)がリベラル派を代表する政党となる一方で、自由中道連合の影響力は低下していった。現在、自由中道連合の後継政党である「自由と公正」は、国会でわずかに議席を得る程度の小政党にとどまっている。
党史
2003年5月31日、リトアニア自由連合(LLS)、リトアニア中道連合(LCS)、現代キリスト教民主派(MKD)の3党が合併し、自由中道連合(LiCS)が設立される。自由連合のアルトゥーラス・ズオカス(Artūras Zuokas)党首が新党の党首に就任。
2004年6月13日に行われた欧州議会議員選挙では、リトアニアに割り当てられた13議席のうち2議席を獲得(得票率10.6%)。エウゲニユス・ゲントヴィラス(Eugenijus Gentvilas)とマルガリタ・スタルケヴィチューテ(Margarita Starkevičiūtė)が欧州議会議員に就任する。ともに欧州自由民主同盟(ALDE)に所属。同年の国会議員選挙で自由中道連合は18議席を獲得。
2006年、ズオカス党首に異を唱える党員らが離党、新たにリトアニア共和国自由運動(LRLS)を設立する。なお、2007年の時点で10人の国会議員が自由運動の国会会派に所属していた。
2006年から2008年まで、ゲディミナス・キルキラス(Gediminas Kirkilas)首相(社会民主党)を中心とする連立内閣を構成。
2008年の国会議員選挙で8議席を獲得。選挙後、祖国連合(TS-LKD)、国民復興党(TPP)、自由運動との連立に加わる(首相:アンドリュス・クビリュス(Andrius Kubilius))。
2009年6月7日に行われた欧州議会議員選挙では、得票率3.4%で議席を獲得できなかった。
2010年、ズオカス前党首が離党。ズオカスはTAIP(政治団体、のちに政党)を設立する。
2011年9月22日、国民復興党(TPP)が自由中道連合に合流。
2012年の国会議員選挙では議席を獲得することはできなかった。
2014年5月25日に行われた欧州議会議員選挙では、得票率1.4%で議席を獲得できなかった。同年、TAIPが自由中道連合に合流。党の名称をリトアニア自由連合(リベラル派)(LLS)に改める。なお、ここでの「自由」(laisvė)は英語の freedom にあたる単語であり、自由連合(〜2003年)や自由中道連合の「自由」(英語の liberal に相当)とは異なる。TAIP党首のズオカスが合流後の党首に就任。
2016年の国会議員選挙では議席を獲得することはできなかった。
2019年5月26日に行われた欧州議会議員選挙では、得票率1.8%で議席を獲得できなかった。
2020年6月、政党「秩序と公正」(TT)およびアルトゥーラス・パウラウスカス(Artūras Paulauskas)元国会議長率いる政治団体「進め、リトアニア」(Pirmyn, Lietuva)が合流、党の名称を「自由と公正」(LT)に改める。「秩序と公正」で党首を務めていたレミギユス・ジェマイタイティス(Remigijus Žemaitaitis)が合流後の党首に就任。ズオカスとパウラウスカスは副党首となる。
同年の国会議員選挙では1議席を獲得(ケルメ゠シラレ(第41)選挙区から出馬していたジェマイタイティス党首が当選)。
2022年11月、党首の任期を満了したジェマイタイティスに代わってパウラウスカスが党首に就任。
2023年5月、ジェマイタイティス前党首が反ユダヤ主義的コメントをFacebook上に掲載したことが問題となり、党員資格停止処分を受ける。同氏は同年6月に同党を離党し、11月に政党「ネムナスの夜明け」(NA)を結成した。
2024年2月、パウラウスカスに代わってズオカスが党首に選出される。また、同年行われた大統領選挙では、「自由と公正」はイグナス・ヴェゲレ(Ignas Vėgėlė)候補を支持するとした。同年10月に行われた国会議員選挙では、ズオカスが「自由と公正」のリスト最上位で立候補する一方、パウラウスカスは選挙に立候補しないと宣言。選挙の結果、比例では得票率わずか0.75%にとどまり議席を獲得できず。小選挙区では、ヴィルニュス市内のナウイニンカイ゠ラソス(第14)選挙区でズオカス党首が決選投票でわずか31票差で対立候補を破り、勝利をおさめた。これにより党は1議席を獲得した。
選挙結果
国会議員選挙
自由中道連合(LiCS)
- 2004年 –– 18 / 141 議席(比例 7 / 70 議席 = 得票率 8.94 % 、小選挙区 11 / 71 議席)
- 2008年 –– 8 / 141 議席(比例 5 / 70 議席 = 得票率 5.04 % 、小選挙区 3 / 71 議席)
- 2012年 –– 0 / 141 議席(比例 0 / 70 議席 = 得票率 2.06 % 、小選挙区 0 / 71 議席)
リトアニア自由連合(リベラル派)(LLS)
- 2016年 –– 0 / 141 議席(比例 0 / 70 議席 = 得票率 2.14 % 、小選挙区 0 / 71 議席)
自由と公正(LT)
- 2020年 –– 1 / 141 議席(比例 0 / 70 議席 = 得票率 1.99 % 、小選挙区 1 / 71 議席)
- 2024年 –– 1 / 141 議席(比例 0 / 70 議席 = 得票率 0.75 %、小選挙区 1 / 71 議席)
地方議会議員選挙
自由中道連合(LiCS)
- 2007年 –– 182 議席
- 2011年 –– 126 議席
リトアニア自由連合(リベラル派)(LLS)
- 2015年 –– 57 議席(うち5議席は自治体長)
- 2019年 –– 32 議席(うち1議席は自治体長)
欧州議会議員選挙
自由中道連合(LiCS)
- 2004年 –– 2 / 13 議席 = 得票率 10.56 %
- 2009年 –– 0 / 12 議席 = 得票率 3.38 %
- 2014年 –– 0 / 11 議席 = 得票率 1.40 %
リトアニア自由連合(リベラル派)(LLS)
- 2019年 –– 0 / 11 議席 = 得票率 1.81 %
自由と公正(LT)
- 2024年 –– 0 / 11 議席 = 得票率 1.22 %
歴代党首
自由中道連合(LiCS)
- 2003〜2009年 –– アルトゥーラス・ズオカス(Artūras Zuokas)
- 2009〜2011年 –– ギンタウタス・バブラヴィチュス(Gintautas Babravičius)
- 2011〜2013年 –– アルギス・チェプリカス(Algis Čaplikas)
- 2013〜2014年 –– アルトゥーラス・メレナス(Artūras Melianas)
リトアニア自由連合(リベラル派)(LLS)
- 2014〜2020年 –– アルトゥーラス・ズオカス(Artūras Zuokas)
自由と公正(LT)
- 2020〜2022年 –– レミギユス・ジェマイタイティス(Remigijus Žemaitaitis)
- 2022〜2024年 –– アルトゥーラス・パウラウスカス(Artūras Paulauskas)
- 2024年〜 –– アルトゥーラス・ズオカス(Artūras Zuokas)
党員数の推移
自由中道連合(LiCS)
- 2012年 –– 4,777人
- 2013年 –– 4,102人
リトアニア自由連合(リベラル派)(LLS)
- 2014年10月1日 –– 4,249人
- 2015年10月1日 –– 4,363人
- 2016年10月1日 –– 4,439人
- 2017年10月1日 –– 4,359人
- 2018年3月1日 –– 4,311人
- 2018年10月1日 –– 4,257人
- 2019年10月1日 –– 4,122人
- 2020年3月1日 –– 4,068人
自由と公正(LT)
- 2020年10月1日 –– 4,678人
- 2021年10月1日 –– 4,649人
- 2022年3月1日 –– 4,569人
- 2022年10月1日 –– 4,439人
- 2023年3月1日 –– 4,338人
- 2023年10月1日 –– 4,210人
- 2024年3月1日 –– 4,125人
- 2024年10月1日 –– 4,058人
出典・参考文献
- „Politinių organizacijų narių sąrašai [政治団体構成員一覧]“ – Lietuvos Respublikos teisingumo ministerija [リトアニア共和国法務省ウェブサイト]
- „Partija „Laisvė ir teisingumas“ [政党「自由と公正」]“ – Visuotinė lietuvių enciklopedija [リトアニア百科事典]