自由党(LP)

自由党(LP; Laisvės partija)は、2019年に設立されたリトアニアの自由主義政党。欧州レベルでは欧州自由民主同盟党(ALDE Party)に、欧州議会では欧州刷新(Renew Europe)に所属している。個人の自由の尊重やLGBTの権利擁護、大麻の合法化などを掲げる。経済的には市場原理志向が強い。

支持基盤とする地域

自由党は、自由運動(LRLS)ヴィルニュス市支部の党員らを中心に結成された(党史を参照)。そのため、2020年の国会議員選挙では、特にヴィルニュス市で票を多く獲得した。

2020年国会議員選挙・比例での自由党の得票率

また、在外公館における投票での得票率は23.7%であり、自由党が在外リトアニア人のあいだで広く支持されていることが確認された。

2020年国会議員選挙・比例における各党の得票率

(画像ファイル : カラー / グレースケール

なお、2020年国会議員選挙・比例での各党の得票率については別の記事を参照のこと。

党史

2018年、自由運動所属のヴィルニュス市長、レミギユス・シマシュス(Remigijus Šimašius)前党首が、翌19年に行われる地方選では自由運動からではなく独自に出馬するとした。これによりシマシュスと党のあいだで対立が生じ、党はシマシュスの党員資格を停止。同年、シマシュスが、党ヴィルニュス支部の支部長を務めていたアウシュリネ・アルモナイテ(Aušrinė Armonaitė)国会議員らとともに自由運動を離党。同支部に所属する党員らも離党した。

2019年3月に行われた地方議会議員選挙で、シマシュス率いる政治団体がヴィルニュス市議会全51議席中18議席を獲得し、市議会第1会派となる。この選挙で当選したシマシュスは、ヴィルニュス市長に再任。

2019年6月、シマシュスとアルモナイテを中心に自由党(LP)が設立される。アルモナイテが党首に就任。

2020年の国会議員選挙では、比例で8議席(得票率9.11%)、小選挙区で3議席、計11議席を獲得。ヴィルニュス市などの都市部で票を伸ばしたほか、特に在外公館で得票率が高かった(別記事参照)。選挙後、祖国連合(TS-LKD)自由運動とともに連立内閣を構成。自由党からは、アルモナイテ党首が経済・イノヴェーション相として入閣したほか、エヴェリナ・ドブロヴォルスカ(Evelina Dobrovolska)議員が法相として入閣。

2023年11月、シルヴァ・レングヴィニエネ(Silva Lengvinienė)議員が自由党を離党し、民主連合「リトアニアのために」(DSVL)に加わる。これにより、自由党党員が所属する国会会派に所属する議員の数は10人となった。

2024年の大統領選挙で、自由党は、元最高裁裁判長のダイニュス・ジャリマス(Dainius Žalimas)候補(無所属)を擁立するも、現職のギタナス・ナウセダ(Gitanas Nausėda)候補や現首相のイングリダ・シモニーテ(Ingrida Šimonytė)候補に遠く及ばず敗れた。翌月行われた欧州議会議員選挙では、自由党は得票率7.94%でリトアニアに割り当てられた11議席のうち1議席を獲得。ジャリマスが欧州議会議員に選出された。

同年10月に行われた国会議員選挙で自由党は、比例で得票率4.53%となり議席を獲得できず。小選挙区でも全敗し、議席をすべて失うこととなった。この選挙結果を受けて、アルモナイテは党首を辞任。代わってトマス・ヴィータウタス・ラスケヴィチュス(Tomas Vytautas Raskevičius)前国会議員が11月30日に行われた党大会で党首に選出された。ラスケヴィチュスは自身が同性愛者であることを公表していることで知られる。

選挙結果

国会議員選挙

  • 2020年 –– 11 / 141 議席(比例 : 8 / 70 議席 = 得票率 9.11 % 、小選挙区 : 3 / 71 議席)
  • 2024年 –– 0 / 141 議席(比例 : 0 / 70 議席 = 得票率 4.53 % 、小選挙区 : 0 / 71 議席)

欧州議会議員選挙

  • 2024年 –– 1 / 11 議席 = 得票率 7.94 %

歴代党首

  • 2019〜2024年 –– アウシュリネ・アルモナイテ(Aušrinė Armonaitė)
  • 2024年〜 –– トマス・ヴィータウタス・ラスケヴィチュス(Tomas Vytautas Raskevičius)

党員数の推移

  • 2019年10月1日 –– 2,910人
  • 2020年3月1日 –– 2,920人
  • 2020年10月1日 –– 3,019人
  • 2021年10月1日 –– 3,469人
  • 2022年3月1日 –– 3,406人
  • 2022年10月1日 –– 3,334人
  • 2023年3月1日 –– 3,250人
  • 2023年10月1日 –– 3,181人
  • 2024年3月1日 –– 3,150人
  • 2024年10月1日 –– 3,144人

出典・参考文献