ネムナスの夜明け(NA)

政党「ネムナスの夜明け」(PPNAまたはNA; Politinė partija „Nemuno Aušra“)は、2023年に結成されたリトアニアのポピュリスト政党。リトアニアのメディアでは「夜明け派」(aušriečiai)と呼ばれることもある。

政策

2024年国会議員選挙の綱領では、リトアニア文化の尊重と伝統的な家族の育成を掲げる。

環境問題に関して、森林の保護とグリーン・エネルギーの推進を主張する一方で、欧州連合の推し進めるグリーンディール政策は農業や農村地域の発展を阻害しているとして、これを批判している。

レミギユス・ジェマイタイティス(Remigijus Žemaitaitis)党首は反ユダヤ主義者としても知られる。

支持基盤とする地域

2024年国会議員選挙では、特にリトアニア西部のジェマイティヤ地方で比較的多くの票を獲得した。

党史

2023年5月、当時自由と公正(LT)に所属していたレミギユス・ジェマイタイティスが反ユダヤ主義的コメントをFacebook上に掲載したことが問題となり、党員資格停止処分を受ける。ジェマイタイティスは同年6月に同党を離党し、11月に政党「ネムナスの夜明け」を結成した(政党登録は2024年)。なお、ジェマイタイティスは、翌2024年に国会からの罷免投票を避けるために国会議員を辞職している。

2024年の大統領選挙では、ジェマイタイティス党首が立候補。第1回投票でジェマイタイティス候補は現職のギタナス・ナウセダ(Gitanas Nausėda)候補、現首相のイングリダ・シモニーテ(Ingrida Šimonytė)候補、農民・緑の連合(LVŽS)などが支援したイグナス・ヴェゲレ(Ignas Vėgėlė)候補に次ぐ4位となり、決選投票には進出できなかった。

同年10月に行われた国会議員選挙で「ネムナスの夜明け」は、特に西部のジェマイティヤ地方や小リトアニア地方で票を伸ばし、比例で70議席中14議席(得票率14.97%)、小選挙区では71議席中6議席、合わせて20議席を獲得した。選挙後、「ネムナスの夜明け」は、社会民主党(LSDP)および民主連合「リトアニアのために」(DSVL)とともに連立政権を樹立することで合意。これに対して欧州人民党(EPP)および欧州刷新(Renew Europe)は、党首の反ユダヤ主義的言説は容認できないとして、社会民主党および民主連合に対して「ネムナスの夜明け」を連立から外すよう求める声明を出した。イスラエル政府も同じく、「ネムナスの夜明け」の連立入りを批判。また、ナウセダ大統領も「ネムナスの夜明け」の連立入りには否定的で、同党に割り当てられた3閣僚はすべて、同党所属の国会議員ではなく民間から専門家が選ばれるべきとの見解を示した。そのため「ネムナスの夜明け」は、同党に割り当てられた環境相、農相、法相にはいずれも民間の専門家を指名した。

2025年7月31日、連立政権を率いる社会民主党所属のギンタウタス・パルツカス(Gintautas Paluckas)首相は、自身のスキャンダルを受け、首相および社会民主党党首の職を辞すると表明、8月4日に辞任した。その後、社会民主党所属のインガ・ルギニエネ(Inga Ruginienė)を首相とする連立政権が発足する運びとなり、「ネムナスの夜明け」もこれに参加することとなった。「ネムナスの夜明け」には環境相および文化相のポストが割り当てられ、カスティーティス・ジュロムスカス(Kastytis Žuromskas)議員とイグノタス・アドマヴィチュス(Ignotas Adomavičius)議員がそれぞれ環境相と文化相に就任。これまで文化事業に携わってきた経験を一切もたないアドマヴィチュスが文化相に就任すること、そして「ネムナスの夜明け」が連立政権に加わること自体に文化界から大きな反発が起こり、10月5日には全国規模の抗議運動が実施された。これに先立つ10月3日、アドマヴィチュスは文化相を辞任した。ジェマイタイティス党首は、「ネムナスの夜明け」に対する抗議運動を主導した人物に関して、誤った内容を含む反ユダヤ主義的言説をFacebook上で書き込み、さらなり批判の声を集めた。

選挙結果

国会議員選挙

  • 2024年 –– 20 / 141 議席(比例 : 14 / 70 議席 = 得票率 14.97 % 、小選挙区 : 6 / 71 議席)

歴代党首

  • 2023年〜 –– レミギユス・ジェマイタイティス(Remigijus Žemaitaitis)

党員数の推移

  • 2024年3月1日 –– 2,296人
  • 2024年10月1日 –– 2,547人

出典・参考文献